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(社)テレコムサービス協会 信越支部主催「情報通信技術政策講演会」における児童ポルノ対策作業部会の取組み説明

2012年1月17日

先般(2011年12月15日)、(社)テレコムサービス協会信越支部主催「情報通信技術政策講演会」において、児童ポルノ対策作業部会でのブロッキングに関する法的問題、技術的課題への検討結果の説明を行いましたので、ご報告いたします。  

(社)テレコムサービス協会信越支部事務局によると信越地域では、ブロッキングに関して、今後の課題とする事業者が多いとのこと。同支部事務局の配慮で、本説明会の掲題を「児童ポルノ対策の現状 ~地域ISPはどう対応したら良いか~」とされ、それに伴い講演内容を地域ISP向けに、国内外の児童ポルノ対策全体が判るようにアレンジしました。

まずは、当作業部会アドレスリスト作成・管理の在り方サブワーキンググループ 曽我部リーダー(京都大学 准教授)から法律問題について説明しました。 

(社)テレコムサービス協会 信越支部主催「情報通信技術政策講演会」における児童ポルノ対策作業部会の取組み説明

曽我部リーダーの本業は、弁護士・検察官・裁判官を志望する学生に憲法を教えており、憲法は通信の秘密や表現の自由を扱うもので、ブロッキングと深く関わることから当作業部会での検討や議論に協力・参加しています。
今回の参加者に対し、大学での学生に対する講義のように判りやすく説明されていました。 

<主な説明内容>

  • ブロッキングは大きく二つの方式が考えられる。
    1つは法律を定め許容や義務化により実施する。もう一つは通信事業者の自主的な取組みとして実施する。国内においては後者の自主的な取組みとして実施している。
    それによる問題は、法律に抵触することである。
    電気通信事業法第4条「通信の秘密を侵してはならない」、電気通信事業法第179条の通信の秘密を犯したものへの罰則規定もある。つまり、ブロッキングは形の上では、通信の秘密の侵害罪(犯罪)となる。
  • 形の上で犯罪に当たったとしても、全て有罪にはならない。例えば、人を殺しても正当防衛の場合、有罪にはならない。つまり形の上で、犯罪は成立していても、何か正当な理由があれば、犯罪としては成立しないのが、刑法の仕組みである。
  • 犯罪が例外的に正当化されるためには、一つは「人の同意があれば良い」(例:医療行為)
    ブロッキングは同意がないため違法阻却事由「正当行為」「正当防衛」「緊急避難」のいずれかに該当すれば正当化される。これらの法的解釈は、若干、争いがあるところ、安心協児童ポルノ対策作業部会ではブロッキングを「緊急避難」として実施可能と考えた。
  • 電気通信事業者はユーザーの履歴を記録しており、形の上では、通信の秘密を侵害しているが、課金やサービス提供のためであり、正当行為業務として許容される。ブロッキングは、児童を守るための行為であり、社会的責任として、当然、正当な行為として思われるが、安心協児童ポルノ対策作業部会では、この考え方は無理と考えた。
    その一つの根拠として、次の判例のように闇金事業者が債務者に対し、脅迫電報を送りつけた事について、債務者がNTTに対し脅迫電報を配達するのは、けしからんと述べて裁判を起こし、裁判所は、NTTは止める義務もなければ止めてはいけないと判決を下したことにある。
  • 脅迫電報を止めることは、一見、正当な行為と思われるが、電報の中身を見て配達を止めることは、通信事業者の正当な行為とは言えないということである。
  • 児童ポルノ対策作業部会で適法にブロッキングが実施可能と考えた「緊急避難」が成立するためには、3つの条件(1)現在の危難、(2)補充性、(3)法益権衡が必要である。

<緊急避難として成立する内容>

  一般事例 ブロッキング 
状  況  狭い道を歩いていて、車が突っ込んできた。車は道幅いっぱいなので、逃げる場所がなく、やむなく民家の花壇に飛び込んで、花を折ってしまった。  Web上に誰もが見れる状態におかれた児童ポルノを閲覧できないようにした。 
形の上の犯罪  花を折る=器物損壊罪  通信の秘密の侵害=電気通信事業法違反 
 現在の危難 車が高速で突っ込んできた為、自分の命が危ない  児童ポルノがWeb上において流通する状態に置かれた段階で、当該児童の心身と経済性に重大な影響を生じる 
 補充性 逃げる場所がなく、花壇に飛び込む以外の手段がない  児童ポルノの削除要請や発信者検挙しても、Web上、削除されない場合 
 法益権衡 花の価値と比べ人命が重い  「当該児童の悪影響・人権侵害」と「通信の秘密」の重さを比べることは難しく、軽微な児童ポルノ(3号ポルノ)やある程度の年齢の児童ポルノに対して法益権衡が認められるかは微妙である。画像の内容が著しく児童の権利を侵害するものであれば、法益権衡が認められる 

 詳しくはこちらをご覧ください。

(社)テレコムサービス協会 信越支部主催「情報通信技術政策講演会」における児童ポルノ対策作業部会の取組み説明

この他、児童ポルノ対策作業部会の技術的課題の検討として、北村副主査(NTTコミュニケーションズ担当部長)により、ブロッキングの導入に関する仕組みや技術的な内容について説明しました。

説明資料はこちらを参照ください。

(社)テレコムサービス協会 信越支部主催「情報通信技術政策講演会」における児童ポルノ対策作業部会の取組み説明

続いて、事務局から作業部会の活動である「ブロッキングに関する国民理解の醸成」に関する説明を行いました。活動内容としては、通信の秘密は国民の権利であることを理解してもらうため、まずは興味や関心を向けさせることを目的とした映像と難解な報告書を判りやすくイラストで説明したHPコンテンツについて紹介しました。

<映像>
URL:http://www.youtube.com/user/SaferInternetofJAPAN
または、Google/Yahoo検索で安心協 ブロッキング 動画と入力することで結果の上位に表示されます。 

<HPコンテンツ>
URL:http://blocking.good-net.jp/

(社)テレコムサービス協会 信越支部主催「情報通信技術政策講演会」における児童ポルノ対策作業部会の取組み説明

最後に、主催の(社)テレコムサービス協会信越支部の斉藤事務局長から、本講演会を踏まえて信越地域のISP事業者も来年度にはブロッキングに向けた導入検討を具体的に進めることができる旨のお言葉をいただきました。

次回の児童ポルノ対策作業部会の活動報告は、(社)日本インターネットプロバイダー協会主催「沖縄ICTフォーラム2011」におけるブロッキングに関する法的問題、技術的課題の説明をご報告します。

(作成者:事務局 堀)


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